幸せな会社のカタチ
会社の理念に「社員の幸せ」を掲げる企業が増えています。
最近のWELL-BEINGブームのおかげで「社員の幸せ」に取り組む企業が増えてきたのは、喜ばしいことです。しかし、ずっと以前から「社員の幸せ」を会社の目的とし、成長し続けている会社があります。
先月に開催された「THE WELL-BEING WEEK 2024~あなたにしかつくれないしあわせがある~」
というイベントをご存じでしょうか?
そちらのイベントで取り上げられた、幸せな会社3社をご紹介いたします。
●THE WELL-BEING WEEK 2024とは?
「幸せを学び、幸せをともに創る」このイベントは、日本や世界にウェルビーイングを広めるために、ボランティアによって運営されています。
幸福学の第一人者、前野隆司先生(慶応義塾大学大学院教授・武蔵野大学ウェルビーイング学部長)と西本照真先生(武蔵野大学学長)を共同実行委員長とし、毎年3月20日の世界幸福デーを含む1週間開催されるイベントで、今年は、3月17日(日)~3月24日(日)まで8日間開催されました。
内容は、著名人の基調講演や、一般公募のワークショップなど、幸せやウェルビーイングに関する催しが180以上あり、どなたでも無料で参加できるものです。
このイベントで、幸せな会社として有名な3社「石坂産業」「西精工」「ネッツトヨタ南国」の会社の話が演劇で紹介されています。
私は実行委員としてこのイベントの運営に関わり、今回ご紹介する「ネッツトヨタ南国物語」の脚本・演出を担当しました。
●石坂産業
石坂産業は産業廃棄物処理の会社。かつて農作物からダイオキシンが検出されたという報道(誤報)により、風評被害を受け、地元住民から立ち退き要求をされるなどの窮地に立たされました。そんな時期に父から社長を引き継いだ石坂典子さん。彼女が会社の立て直しのために行ったことは・・・。
・自分たちの仕事に誇りを持ってもらうこと
・社員に学んでもらうこと
・地域の人達に会社をみてもらうこと
●西精工
西精工は特殊なナットを作る会社。3代目社長の西泰宏さんが西精工に入社した時、製品が床に転がっている、あいさつもない、暗い会社でした。「このままではこの会社はだめになる。」そう思った西さんが会社の立て直しのために行ったことは・・・。
・あいさつ
・掃除
・毎朝の朝礼
●ネッツトヨタ南国
ネッツトヨタ南国はトヨタ車のディーラー。今は相談役の横田英毅さんがこの会社を創業した時、横田さんはまだ37歳でした。おまけに異業種からの転職でした。「自分には業界の経験もなく、人望もなく、経営の能力もない。そんな自分にできることは何だろう。」と考えた末、「社員が幸せになる会社を作ろう。」という答えにたどり着きました。そんな横田さんが行ったことは・・・。
・どんな会社にしたいのか?を社員に問う
・教えない
・任せる
●演劇づくりと幸せな会社
私が今回演劇づくりに参加して感じたことは、演劇づくりと幸せな会社は似ている、という点です。
それはどちらも「目的を持って、集団で行動すること」だからです。
今回の演劇を作る目的は、
「日本や世界の人々にウェルビーイングを広めるため」
演劇は、ウェルビーイングを広めるために、幸せな会社を多くの人に知ってもらう手段として作られました。
一方、幸せな会社の目的は、
理念である「社員の幸せ」
その理念のために目標が定められ、目標を達成するためにさまざまな手段が取られます。
目標達成までには、様々な問題が生じることが多々あります。
今回の演劇を作る上でも様々な問題が浮上しました。
例えば、上演予定の会場は大学の講義室だったため、音響設備が乏しいという問題点が浮上しました。1人1本のピンマイクを用意することは不可能でした。また、役者はほとんどが演技初めての素人であるため、セリフを覚えられないという問題点がありました。
それらの問題点を全員で話し合い、アイディアを出し合いました。
石坂産業とネッツトヨタ南国は動画で収録し、イベント当日は上映という形にしました。そうすれば、セリフは撮影部分だけ細切れに覚えることもできます。また、イベント会場で上演をする西精工は、台本を持って演技する「朗読劇」にすることで、マイクとセリフ暗記の問題を解決しました。
このように問題にぶつかるたびに、その問題について話し合うのは会社でも同じだと思います。
話し合う時に重要なのが、「心理的安全性」
演劇を作るのはボランティアの集団で、上司も部下もありません。みんなが対等なので、自分の意見を気軽に言うことができました。
そして、もう一つ重要なのが、「自分事」
演劇づくりをしているのは、それぞれが「やりたい」と手を上げて参加した人たちなので、全員が「自分事」として考えていたことが問題解決を早く的確なものにできた要因だと思います。
会社にとって理念は目的。
その目的をしっかり理解できていること。
社員が会社の一員として、自分事として考えること。
社員が自分の意見を恐れることなく言うことができること。
これが幸せな会社で重要なことであり、今回の演劇づくりと通じるところだったと感じました。
なにより、今回の演劇づくりに携わった全員が幸せになったということが、図らずも幸せ経営の実証になったことは言うまでもありません。
目的のための手段が生んだ副産物、それは
「幸せな会社の演劇を作ったら、作った人たち(私たち)が幸せになった。」
●幸せのカタチ
3つの会社には、それぞれの幸せのカタチがあります。
どの会社も目指したものは、「社員の幸せ」
その結果、売上が伸びて、会社が成長しました。
社員の幸せ=会社の成長
この方程式を信じられない人もまだたくさんいると思います。
しかし、幸せな会社は存在します。
ぜひ、3本の動画をご覧いただき、幸せな会社のそれぞれの「幸せのカタチ」をヒントにして、あなたの会社ならではの「幸せのカタチ」を探してみてはいかがでしょうか?
THE WELL-BEING WEEK2024
しあわせな会社の演劇(各約20分の動画)
【演劇1】石坂産業(対談風演劇)アーカイブ
【演劇2】西精工(朗読劇)アーカイブ
【演劇3】ネッツトヨタ南国(ミュージカル風)アーカイブ