アサーティブコミュニケーション
アサーティブコミュニケーションという言葉を聞いたことがありますか?
これは、自他尊重のコミュニケーションと言われ、相手を尊重しながら、自分の意見も伝えるというコミュニケーションです。
日本人は昔から、「謙虚」とか「控え目」であることが美徳とされ、自己主張をすることを否定するような文化がありました。そして、相手に合わせる協調性というものを、子供のころから教育されてきました。
その結果、自分の意志を伝えることが下手な人が多いように思います。つまり、我慢をする人です。
言いたいことがあっても、「こんな事を言ったら、相手に悪い」とか「本当は嫌だけど、みんなに合わせておこう」とか、そうやって自分の気持ちを押し殺して、我慢してしまう人。そんな人は、どうしてもストレスがたまりやすくなります。
そういう「言いたくても言えない」我慢をする人たちに学んでほしいのが、アサーティブコミュニケーションです。
具体例でお話します。
あなたが、役所の窓口に行ったら、職員が奥で話をしていました。
あなたは、どのような対応をしますか?
1. 黙って、こちらに気づいてくれるのを待つ。
2.「窓口はどうなっている!」と怒りをあらわにして、怒鳴る。
3.「お願いします」と大きめの声で言う。
アサーティブコミュニケーションでは、
1.「非主張的自己表現」
2.「攻撃的自己表現」
3.「アサーティブなコミュニケーション」
と呼んでいます。
わかりやすくドラえもんのキャラで言うと、
1.のび太くん
2.ジャイアン
3.しずかちゃん
となります。イメージできたでしょうか?
言いたくても言えない、のび太くんタイプ「非主張的自己表現」の人が、3のアサーティブなコミュニケーションができるようになると、ストレスが減ります。
例えば、たくさんの仕事を持っている時に、上司からさらに仕事を頼まれたら、のび太くんタイプの人は断れずに、黙って仕事を引き受けてしまいます。
そして、「自分だけなぜこんなに仕事をしなければいけないのか!」とストレスを感じてしまいます。また、仕事の量を把握していない上司からは、「仕事が遅い」とイライラされるかもしれません。自分の状況や意見を言えないために、自分も上司も結局は嫌な思いをしてしまいます。
この場合、アサーティブなコミュニケーションができるしずかちゃんタイプなら
「今、これだけの仕事を持っています。さらにこの仕事を引き受けると、こちらの仕事の締め切りには間に合いませんが、どちらを先にしましょうか?」と言うことができます。自分の状況を伝えて上司にわかってもらえるので、ストレスが減ります。上司も部下の状況がわかるので、「仕事が遅い!」とイライラせずにすみます。
このように、アサーティブなコミュニケーションをすることで、自分も相手も気持ちの良いコミュニケーションが取れるようになり、トラブルになりにくいのです。
アサーティブなコミュニケーションを実践するには、トレーニングが必要です。すぐには難しいかもしれませんが、自分の気持ちを相手に伝えることは、相手にとっても必要なことだと思って、ハードルの低いものから、始めてみましょう。
例えば、気乗りのしない誘いを、「せっかく誘ってもらったけど、今回は遠慮させてもらうよ。」というように。
みなさんも、アサーティブなコミュニケーションをぜひ実践してみてください。