新入社員の3人に1人は

4月を迎え、新入社員を迎える季節となりました。

新入社員を迎えるとなると、「今年はどんな子が入ってくるかな」とちょっとワクワクしていたことを思い出します。

ところで、「新入社員の3人に1人は3年以内に企業を退職」この事実、ご存じでしたか?

これは、厚労省の新規学卒者の離職状況からの情報です。そして、その退職理由で最も多かったものは、「人間関係が悪い」というものでした。

せっかく入社した新入社員が3年以内に辞めてしまうなんて、もったいない話ですよね。すぐに辞めてしまう新入社員だけに問題があるのでしょうか?

新入社員というのは、精神的にとても弱いものです。

「怖い上司いないかな」

「夜遅くまで残業させられないかな」

「自分に仕事ができるかな」

「職場で嫌われたらどうしよう」

といった不安でいっぱいの状態で入社してきます。

人は未知のもの、知らないものには、「恐怖」や「不安」を抱きます。それは、古来より人間が生き残るために備えている本能なので、「恐怖」や「不安」を抱えずに入社してくる人は、1人もいないでしょう。

数年前、私がいた職場に高卒の男性社員が入社してきました。

彼は入社前とても不安だったと言っていました。彼の入社前くらいにあった事件の報道を見たからです。それは、電通の高橋まつりさんの事件。パワハラと過重労働により自殺に追い込まれた事件です。

18歳の会社を知らない少年にとって、そのニュースは大変なショックであり、恐怖だったと思います。

そんな不安を抱えて、びくびくと入社してきた彼も、毎日、周囲の人間と他愛のない会話をする中で、その「不安」と「恐怖」を失くしていきました。私が雑談の中で「会社入るの、怖かった?」と聞いた時に、彼が「会社に入ったら、死ぬほど働かされると思っていた。」と答えたことがとても印象に残っています。

実際、しばらく経って死ぬほど働かされない、とわかるまでは不安だったかもしれません。

彼の不安を取り除いたもの、それは、「人間関係」だったと思います。実際に仕事を教える立場ではない私たち(主におばさんたちですが)が、彼に話しかけ、他愛のない会話をすることで、彼との人間関係を築き、彼が「この職場で受け入れられている」と無意識に感じてくれたからこそ、不安を取り除くことができたと思います。もし、だれも彼に話しかけなければ、仕事の話しかしなかったら、どうなっていたでしょう。

コミュニケーションにおいて、挨拶、慰め、励まし、労り、称賛、感謝、これらは、「メンテナンスの言葉かけ」と言われています。いわば、人間関係における潤滑油の役割をしてくれるものです。これがなければ、人間関係はギスギスしたものになります。仕事とは直接関係のないこれらの言葉がけが、人間関係を円滑にするのです。

学生時代から「挨拶をするように」と指導されてきたと思いますが、「なぜ、挨拶が必要なのか?」「挨拶をすることで何がよくなるのか?」を教えていないために、挨拶はただ言えばいいと思っている人がいます。

言うことに意味があるのではなく、相手に伝えることに意味があるのです。相手の目を見ずに、通りすがりに小さな声でおざなりにいう挨拶では、人間関係の潤滑油にはなりません。

4月。みなさんの会社にも「不安」と「恐怖」を抱えた新入社員が入ってこられたことでしょう。

どうか、まず名前を呼んで、挨拶をすることから始めてみてください。そして、他愛のない会話をしてください。新入社員から話しかけることは難しいものなので、ぜひみなさんから話しかけてくださいね。

あと、「何か困ったことがあったら、相談窓口に相談すればいいから」と伝えてあげるのも、安心感につながります。何かあったら、頼れるところがあると思うのは、心強いものです。

せっかく入社した新入社員が、3年以内に辞めてしまわないためにも、コミュニケーションは先輩からとってあげるのが、いい方法だと思います。

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