増え続けるハラスメント
最近○○ハラスメントという言葉をたくさん聞きます。いったいどのくらいあるのか調べてみました。
その数は70種類を超えていました。
●増え続けるハラスメント
増え続けるハラスメントのいくつかをご紹介します。
①フキハラ(不機嫌ハラスメント)
不機嫌な態度や表情、ため息などを繰り返し周りに精神的な苦痛を与えるハラスメント
②ロジハラ(ロジカルハラスメント)
正論や理論的な言葉によって相手を追い詰めるハラスメント
③パーハラ(パーソナルハラスメント)
個人の外見や趣味などその人の個性を否定するような発言をするハラスメント
④ジタハラ(時短ハラスメント)
仕事がまだ残っている作業員にたいして経営者や管理者が仕事の切り上げを要求するハラスメント
⑤エンハラ(エンジョイハラスメント)
仕事は楽しいものだと思うことを強制するハラスメント
⑥フォトハラ(フォトハラスメント)
相手の許可なく写真を撮ったり、写真を勝手にSNSにアップするなどのハラスメント
⑦オカハラ(お菓子ハラスメント)
特定の人にだけお菓子を配らなかったり、旅行に行く人にお土産を強要するハラスメント
⑧コミュハラ(コミュニケーションハラスメント)
他の人とのコミュニケーションをとることが苦手な人に必要以上にコミュニケーションを取ろうとするハラスメント
⑨マルハラ(マルハラスメント)
SNSなどの文末に。(句点)を付けることで威圧や不機嫌を感じるハラスメント
⑩ホワハラ(ホワイトハラスメント)
残業しなくていい、○○しなくていい、と部下に過剰に気を使い、仕事上必要な指導や注意をしないハラスメント
あらゆるものに、「ハラスメント」を付ける風潮があるようです。
●そもそもハラスメントとは
そもそもハラスメントとは、「いじめ、嫌がらせ」のことです。
ここで大事なのは、行為者に悪気はなくても、無意識でも相手が「いじめ、嫌がらせ」と受け取ると「ハラスメント」として認識されるということです。
もちろん、身体的な攻撃や精神的な攻撃(暴言、名誉棄損、人格否定)など、ハラスメント行為として禁止されている行為は、行為者に悪気がなかろうが、無意識だろうがハラスメントです。
しかし、上記の⑨マルハラなどは行為者と受け手の認識の違いから生れています。
昭和世代の私も、文末の句点がハラスメントだと言われると驚きですが、SNS世代の若い女性の4割が文末の句点に威圧感を感じる、と答えています。
はたして、これを「ハラスメント」(いじめ、嫌がらせ)と呼んでいいものなのか、と思ってしまいます。
そして、ホワイトハラスメント。
これは、○○ハラスメントと増え続けるハラスメントの悪影響だと思います。
ハラスメントと言われたくないばかりに、部下とどう接すればいいかがわからなくなった結果、部下に「何も教えない、させない」という新たなハラスメントを発生させてしまったのではないかと思います。
ホワイトハラスメントは、パワーハラスメントの一つ「過少な要求」に当たりかねません。
仕事を与えないのも「パワハラ」なのです。
●何を言うかよりも誰が言うか
○○ハラスメントという言葉が増え続けることで、「やってはいけないこと」ばかりに注目すると身動きが取れなくなります。
大切なのは、
「何を言うかよりも誰が言うか」
なのです。
行為者と受け手の関係性が問題なのです。
上司と部下に信頼関係があり、心理的安全性が保たれていれば、自分が嫌だと感じていることを相手にアサーティブ(自他尊重)に伝えることができます。
お互いに相手のことがわからないから、怖いから、思いを伝え合うことができないのです。
ハラスメント防止対策に必要なのは、
「これを言ってはいけない」
「これをやってはいけない」
というリスト作りではなく、
上司と部下の信頼関係を築くための取り組みなのです。
(参考文献)
朝日新聞デジタル 2024年3月8日8時30分「。で終わる文章は威圧的」
読売新聞オンライン 2024年5月17日11時 「ホワイトハラスメントとは」
仕事悩みに答えを出す情報サイトシゴトコ
「職場のハラスメント77種類まとめ一覧 増え続ける理由と対処法」2023/4/2