成果報酬は必ず効果があるのか?
職場において、行動を促すための外部から与える刺激でよく用いられるものが、金銭などによる成果報酬です。しかしながら、成果報酬が必ずしも効果を発揮するとは限らない、という話もあります。これはどういうことなのかについて調査した結果をご紹介いたします。
●内発的動機付けと外発的動機付け
人が何かをやる時には、動機付けが必要になります。その動機付けには、自分自身から起こる内発的動機づけと、外部から与えられる外発的動機付けがあります。
興味・関心があり、自分がやりたいと思ってやるのが、内発的動機付けです。一方、外部から与えられた目標を行おうとする時に、評価や報酬、評判など人から与えられる何かによってやろうと思うものが外発的動機付けです。
つまり、数学の問題を解くのが楽しくて、何時間も問題を解いているのか
数学の成績を上げるように親に言われ、問題集を1冊やり終えたら、お小遣いをもらえるから問題を解いているのか、ということです。
一般的には、外発的動機付けよりも内発的動機付けの方がいいと言われています。
それは、内発的動機付けの方がモチベーションを維持されやすいからです。
外発的動機付けは、報酬などにだんだん慣れてくるとその効果が薄れていくという難点があります。
●上司に必要なもの
最近発表された研究によると、成果報酬を与える上司に温情があり親切である場合は、部下は熱心にその仕事に取り組みパフォーマンスが上がるが、一方、上司に温情がなく親切でなければ、その成果報酬に脅威を感じ、その仕事から撤退したり、パフォーマンスが低下したりすることが明らかになりました。
つまり、部下によりよいパフォーマンスをしてもらおうと思うなら、成果報酬を与えるだけでは必ずしも効果はなく、上司の人柄も重要である、ということが研究の結果明らかになったというのです。
イソップ物語の「北風と太陽」と同じですね。
部下のモチベーションを維持するためには、まず上司自身が、部下に尊敬され信頼される上司となることが重要であり、また、あたたかみのある人柄であることが求められるということです。
●上司と部下の関係
職場において、上司と部下の関係は基本です。その関係の善し悪しが職場の雰囲気を左右し、ひいては会社全体の業績にも関わってきます。職場の人間関係をよいものにするためには、まず職場の心理的安全性を高める必要があります。
ハラスメントの脅威のない職場。そんな職場にするためには、定期的なハラスメント研修が必要です。
1度研修をしたからそれで大丈夫ということでなく、継続的に行うことで職場でのハラスメントに対する意識が高く保たれます。
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研修についてはこちらをご覧ください。
(参考文献)
記事
Pay-For-Performance Success Depends on Leader Behavior
I-O AT WORK 2023/6/12
https://www.ioatwork.com/pay-for-performance-success.../
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論文
Appraising and Reacting to Perceived Pay For Performance: Leader Competence and Warmth as Critical Contingencies
認知された成果報酬に対する評価と反応: 重要な条件としてのリーダーの能力と温情
Academy of Management Journal VOL. 66, NO. 2
Dejun Tony Kong, Sanghee Park and Jian Peng
2023/4/19
https://journals.aom.org/doi/10.5465/amj.2021.0209