新入社員を効果的に育てる裏ワザ‼
3月も中頃となり、4月に入社してくる新入社員の準備に追われているのではないでしょうか?
新卒採用コストの平均は、1人当たり95万円~100万円と言われています。(リクルート就職みらい研究所調べ「就職白書2020」)
それだけのコストをかけて採用した新入社員のみなさんには、ぜひ会社の戦力となって欲しいですよね。
そのために重要なのが「新入社員教育」です。
本日は、新入社員教育で成果を上げる、その裏ワザとも言える「ピグマリオン効果」についてお伝えいたします。
●ピグマリオン効果とは
ピグマリオン効果とは、アメリカの教育心理学者であるローゼンタール氏が発表した心理学用語で、「教師期待効果」あるいは「ローゼンタール効果」とも呼ばれるものです。
教育現場で教師が期待することで、その学習者が期待に沿った結果を出すことができる、という心理効果のことです。
「ピグマリオン」という言葉は、ギリシャ神話からきており、ピグマリオンという彫刻家が理想の女性の彫刻を掘り、その美しさに恋をして、人間の女性になって欲しいと心から願った(期待した)ことを哀れに思った神様が、その彫刻を人間の女性に変えた、というエピソードからきています。
ピグマリオン効果の実験として有名なのが、1964年にサンフランシスコの小学校で行われた実験です。ごく普通の知能テストを「今後数ヵ月の間に成績が伸びる児童を予測できるテスト」と教師に説明し、その結果と関係なくランダムに選んだ児童の名簿を教師に見せたところ、数ヵ月後、その名簿に載っていた生徒の成績が上がったという実験です。
理由としては、成績が伸びると教師が期待してその児童に接することで、その期待が児童に伝わって学習意欲が上がったとか、教師が自身の期待により、児童が理解できるまで丁寧に指導したことなどが考えられます。
●ビジネスの現場でピグマリオン効果を
実際にビジネスの現場で、ピグマリオン効果を用いたマネジメントは行われています。
①仕事を任せる
ある程度仕事を覚えた段階で仕事を任せることは、一人でもきちんと仕事ができることを「期待している」ことになります。仕事を任された部下は、その期待に応えようと努力します。
②言葉で伝える
1on1の時などに、「君ならできると信じている。」などと言葉で伝えると、部下はその期待に応えようと努力します。
●新入社員教育でピグマリオン効果を
新入社員教育においても、ピグマリオン効果を利用することができます。
例えば
・「君たちは能力のある素晴らしい人材だから採用した。」と伝える。
新入社員に、「自分たちは能力のある人材だと期待されている。」と伝えることで、期待通りの能力のある人材に育つ可能性があります。
・指導担当者に「今年の新人はすごく伸びる人材ばかりだ。」と伝える。
指導担当者が新入社員に期待することで、丁寧に教えたり、新入社員を肯定的に見たりすることができるので、研修の効果が上がりやすくなります。
●ピグマリオン効果の注意点
ピグマリオン効果には、注意点もあります。
学習者に過度の期待をし過ぎると、それが裏切られた時に期待から怒りに変化してしまったり、過度の期待に学習者が押しつぶされてしまったりすることがあります。
学習者の中には、期待をプレッシャーに感じてしまい、うまくピグマリオン効果が得られない人もいます。
その点に注意しながら、適度な期待を持って学習者に接することで、よりよい効果を得ることができると思います。
●新入社員を育てる裏ワザ
新入社員を育てる裏技として、ピグマリオン効果を利用してみるのもいいのではないでしょうか?
人は期待に応えようとするものです。
そして、全く期待されないとやる気を失います。
ピグマリオン効果の逆にゴーレム効果というものがあります。
ゴーレム効果は、何も期待されず、評価されないことによってパフォーマンスが低下する心理現象のことです。
新入社員を育てる裏技として、適度に期待しそれを伝えることで、よりよい結果が得られるならば、ピグマリオン効果を利用するのはいい方法ではないでしょうか?
参考文献: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
Voicy前野夫妻の幸福学TIPS 第36回放送「ピグマリオン効果」