やりがいを持つ

去る3月21日に幸せな会社として知られる石坂産業株式会社の合同見学会に参加してまいりました。

今回のブログは、その報告と感想を記事にいたしました。

●石坂産業株式会社とは

石坂産業株式会社は、埼玉県入間郡にある産業廃棄物処理業を営む会社です。

2015年には、第2回ホワイト企業大賞を受賞しています。また、環境保全と循環型社会の実現に向けた取り組みを実践しており、「幸せな会社」として知られています。

かつて、マスコミによる誤ったダイオキシン問題報道の結果、風評被害を受け、地元の住民から「立ち退き運動」を起こされ、廃業の危機に陥ったことがあります。

そのような逆境の中、地域住民との関係を修復し、経営改革を推進し、業績を上げている会社です。

●合同見学会

私が参加した合同見学会は、【環境デザインマスター】ベーシックコースというもので、石坂産業のホームページからだれでも申込みができるものです。

私は、幸せに働く社員の方々をこの目で見て、幸せに働ける理由を知りたいと思い参加しました。

参加者には同じ産廃業者の方もいたり、就活中の大学生もいたり、企業単位で見学に来ている方もいらっしゃいました。それぞれがそれぞれの目的をもって、この会社の合同見学会に参加されていました。

見学会の冒頭にオリエンテーションがあり、企業概要と同社の取り組みが紹介され、案内役の2名の社員の方が、それぞれ参加者10名ずつくらいを連れて社内を案内してくれました。

案内役の方は、入社2年目の女性と入社1年目の女性の方でした。学生時代から環境問題に関心があり、「この会社こそ私のやりたいことができる会社だ。」と思って入社された方々で、とても会社愛に溢れていました。

工場見学では、工場の中を安全なルートで見て回りました。

まず驚いたのは、工場内が全く臭くなかったことです。ゴミを処理する工場というと臭い匂いがしそうですが、全く臭くはありませんでした。工場内の通路もキレイに掃除されていて清潔感がありました。

工場内では、大量に積まれた廃棄物をクレーンと人の手で分けていました。建設現場から出たと思われる廃棄物は、土やコンクリート、鉄、ビニール、紙などが混在しており、それを分けているのです。

石坂産業の石坂典子社長の言葉、

「ゴミは分別しなければゴミのままだけど、分別すれば再生可能なものとなる。」

ということを目の当たりにしました。

また、見学の際の説明で感じたことは、地域住民との関係をとても大切にしている、ということでした。

例えば、産業廃棄物を運んでくるトラックが地域の生活道路をふさいでしまわないように、工場への順番待ちができる長細い駐車場を作ったり、地域の道路を汚さないために工場から出るトラックのタイヤを貯めた雨水で洗ったりと、地域住民へ細かな配慮をしていました。

中でも最も驚いた話は、かつて「立ち退き運動」のリーダーだった方のお子さんが、のちに石坂産業に入社された、という話です。

現在も社員のほとんどの方が近隣にお住まいの方だということです。

「この地域から出ていけ。」と言われていた会社が、「ここにこの会社があってよかった。」と思われる会社になった、ということです。

そこに至るまでの道のりは険しく長い道のりであったことが想像に難くありません。

●環境保全と循環型社会

かつて、石坂産業の周りの雑木林にはたくさんの不法投棄があり、荒れ果てていたそうです。その雑木林をきれいに整備し、里山として再生し広く多くの方々に開放しています。

オーガニックファームで取れた野菜や平飼いの鶏の卵などで作った食事を体験する「おいしい体験プログラム」もあります。私たちの見学会の昼食も、オーガニックファームで取れた食材を使ったお弁当でした。

そのお弁当も、竹籠に竹皮が敷かれ、その上にたくさんの美しくおいしいおかずの数々が並んでいました。ゴミとなるビニール製のバランなどは使用せず、チコリなどの野菜をカップとして利用していました。ごはんもお弁当の中に入っているのではなく、おひつとお茶碗が置かれていて、自分が食べられる量だけ自分でよそうスタイルでした。

見学者はペットボトルの持ち込みが許可されていましたが、社員はペットボトル持ち込み禁止。マイボトル持参で、空のお弁当箱を持参すれば、そこにおかずやごはんを詰めてくれる社員食堂までありました。

どこまでもゴミを出さないという姿勢に感動しました。

●やりがいを持つ

今回の見学中、工場に掲げてあったこの言葉に一番感動を覚えました。

「この仕事が世界を変える」

石坂産業の社員のみなさんには、この言葉が胸に大きく刻まれているのだと思います。

社員のみなさんは、ただベルトコンベアーで流れてくるゴミを分別しているのではなく、この仕事がこのゴミだらけの世界を変えるのだ、という強い思いを持って仕事をしているのです。

工場だけでなく、里山のショップで働く人も総務や営業といった事務の人も、案内をしてくれたお二人も、すべての社員が自分の仕事にやりがいを持っている、そのことがいきいきと幸せに働ける理由なのだと感じました。

今の石坂典子社長に代替わりした時に、ISO取得に向けて様々な取り組みを始めことで、反対する社員が次々と退職しました。当時の退職者は全体の4割に上ったそうです。その時に典子社長は、逆にチャンスと捉えて、企業理念に賛同してくれる人を多く採用しました。その結果、社員の平均年齢は50代から30代になったそうです。逆境から這い上がり、同じ目的を持って一緒に歩むことによって今の石坂産業に変わっていったのだと思います。

人が働く上で大切なもの。

それはその会社の理念にどれだけ共感し、心からその理念を目指していきたいと思っているかどうかなのではないでしょうか。

その思いこそが、やりがいを持って働くことにつながっているのだと、いきいきと働く石坂産業の社員のみなさんを見て確信しました。

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