人材育成の指針
4月に入り新入社員が入社し、研修が進んでいることと思います。
人材育成は時間と労力がかかります。人材は人財。人は会社の財産です。しかしながら、人を育てるというのは、いつの時代も変わらず難しいものです。
今回は、そんな人材育成の指針というべき名言をご紹介いたします。
●やってみせ~
大日本帝国海軍軍人、山本五十六の有名な名言に
「やってみせ、言って聞かせて、させてみて、ほめてやらねば、人は動かじ」
というものがあります。
まさに、人材育成の基本です。
- まずは手本をやって見せて教える。
- そして言葉で説明し、理解させる。
- 次に自分で実際にやらせてみる。体験させる。
- 実際にやったことに対して、ほめる。
- そうして初めて人は自分から行動することができる。
ここで難しいのが、「ほめる」ということではないでしょうか。
教えてできるのは当たり前、わざわざほめる必要などないのではないか。甘やかし過ぎではないか。と思われる方もいるかもしれません。「ほめる」は必ずしも「すごいね」「よくやった」だけではなく、「大丈夫」「それであってるよ」と伝えるだけでも、部下は承認してもらえたと思えるので安心します。
●話し合い~
先ほどの言葉の続きに
「話し合い、耳を傾け、承認し、任せてやらねば、人は育たず」
とあります。
戦時下の大日本帝国海軍大臣である山本五十六が、部下と話し合い、その部下の話を傾聴する大切さを説いています。当時の日本軍で部下の話に耳を傾ける人がどれだけいたでしょうか。部下は上司の言う事を黙って聞くもの、という考え方が今も昔も根強く残っています。しかし、それが人を育てる上ではマイナスになることを、山本は熟知していたのでしょう。
そして、部下の話を聞くだけでなく、「承認」し、「そうか、君はそう思うのか」と受け止めることで、部下を人として尊重している姿をみせ、それが結果として部下の信頼を得ることに繋がっていたのだと思います。また、部下を育てるには、実際に仕事を任せることが必要です。部下に仕事を任せるのは心配な面もあるでしょうが、仕事を任せることでやりがいや責任感が芽生え、大きな成長につながります。仕事を任せなければ、いつまで経っても指示を出さなくてはいけない「指示待ち人間」になってしまいます。
●やっている~
名言はさらに続きます。
「やっている、姿を感謝で見守って、信頼せねば、人は実らず」
部下が育っている様子をじっと観察し、その成長に感謝しながら、時には「この前の企画書よくできていたよ」「いつも細部にこだわって丁寧な仕事をしているね」などの声をかけることで、「上司は自分を見てくれている」とモチベーションを上げることができます。自分を尊重し、承認してくれる上司に信頼されれば、部下は人材から人財へと実っていくでしょう。
●人材育成の指針
先ほどの山本五十六の名言は、人材を育てる3つの段階にそれぞれ当てはまります。
1.仕事のやり方を教える時の指針は
「やってみせ、言って聞かせて、させてみて、ほめてやらねば、人は動かじ」
2.部下が仕事をやる上で意見や思いが出てきた時、仕事を任せる時の指針は
「話し合い、耳を傾け、承認し、任せてやらねば、人は育たず」
3.ある程度仕事ができるようになった部下のモチベーションを下げす、育てていくための指針は
「やっている、姿を感謝で見守って、信頼せねば、人は実らず」
この3の指針で人材を人財に育て上げることができます。
新人は研修を終えれば、あとは勝手に育つ、というのはなかなか難しいものです。上司は、部下のフォローアップをして承認し、信頼関係を築き、見守ることが会社にとって有益な人財を育てる秘訣だと言えます。
山本五十六の名言、ぜひ参考にしてみてはいかがでしょうか。