部下が言うことを聞かない理由
みなさんは、部下が言うことを聞かないなあ、と思ったことはありますか?
なぜ、部下は上司の言うことを聞かないのでしょうか?
●人は鏡
人は鏡ということを聞いたことがありますか?
部下が上司の言うことを聞かないのは、そもそも、上司が部下の話を聞いていないからです。
人は、自分の話を聞いてくれない人の話を聞きません。聞きたくありません。
自分に興味のない人には、興味を持ちません。
上司が部下に興味がないと、部下も上司に興味を持ちません。
部下に言うことを聞いて欲しいなら、まずは上司が部下に興味を持ち、部下の話を聞かなければならないのです。
なぜなら、人は鏡。自分のしたことしか、返ってこないからです。
●人は話を聞いてくれる人に好感を持つ
人は、どんなに話すのが苦手、という人でも、話を聞いてもらうと嬉しいものです。
なぜなら、話を聞いてもらう、という行為は、「受け止めてくれている」つまり、承認されていると思えるからです。
人は、自分の話を聞いてくれる人に好感を持ちます。
そして、好感を持ち、信頼している人の話は、たとえそれが、どんな話でも信じてしまうという傾向があります。
マルチ商法や、怪しい投資話も、全然知らない人から聞くと怪しいと判断できる人が、信頼している人からその話をされると、「信頼している人の話だから、大丈夫だ。」と信じてしまう、ということがよくあります。
つまり、何を言うかよりも、誰が言うか、が重要ということです。
名著に載っている名言よりも、部下にとって信頼できる、尊敬できる上司の言葉の方が、部下に届くということです。
●信頼される上司になるために
信頼される上司になるために必要なことは、なによりもまず部下の話を聴くことです。
そして、その際に
評価・判断をしない
否定しない
アドバイスをしない
この3つを心がけましょう。
この3つをしてしまうと、お説教や指導になってしまいます。
ただ、ひたすらに興味を持って話を聴く、ということに専念することが大事です。
ありがちなのが、部下が話している途中から、結論を出したり、ダメ出しをしたり、否定したり、解決策を与えてしまうことです。
そういう自分が話したいという欲求を抑えて、話を聴くというのは、実はとても難しいことなのです。
●傾聴力を身に着ける
上司に必要なスキルの一つは、傾聴力です。
聞くは、自然と耳に入ってくるもの
訊くは、質問すること
そして、聴くは積極的に、能動的に聴くことです。
傾聴とは、文字通り、耳を傾けて積極的に話を聴くことです。
そして、この傾聴が、とても難しいのです。
私たちは、人の話を聞く時に、次に自分が話すことを考えていたり、自分の中にある何かに当てはめようとして聞いている場合が多いからです。
ただ、ひたすらに相手の話を聴く、「傾聴する」ということは、簡単ではありません。
傾聴を行う上で重要な3つのポイントは
1.話を遮らない
2.安心感を与える
3.共感・受容する姿勢
そして、話を聴く時の3つのテクニックは
- うなづき
- あいづち
- 伝え返し
うなづきは「うん、うん。」と、うなづきながら相手の話を聞くことで、相手は話を聞いてくれていると安心して、話を続けることができます。
あいづちは「それで?」「なるほど」といった言葉を発して、相手の話を促す効果があります。
伝え返しは、相手の言ったこと、例えば、「悔しかった」という言葉に対して「悔しかったのだね。」と同じことを繰り返して言うことで、相手の感情を受け止めることになります。
部下の話を聴く、相談にのる、ということは、上司と部下の関係を良好にする最良の手段です。
良好な関係を作り、信頼され、尊敬される上司となれば、部下はおのずと上司の言うことを聞いてくれるようになります。
部下が言うことを聞かない、と思う時、部下に無理やり「言うことを聞け!」と言っても、効果はありません。
なぜなら、何を言うかよりも、誰が言うか、部下にとってどんな人が言うか、が大事だからです。
部下に言うことを聞いて欲しいなら、まず、上司が部下の話を聴く、これしかありません。
人は鏡。自分がやったことしか、自分に返ってきません。
そのことを、肝に銘じておきたいですね。