雑談の効果
「仕事中の私語は慎みなさい。」
これは、昔からよく言われている言葉です。
もちろん、給料という対価をもらって仕事をしているわけですから、業務に関係のない私語(雑談)ばかりをするのは、生産性を下げることになるので、よくないと思います。
しかし、全く雑談のない職場の生産性は、本当に上がるのでしょうか?
全く雑談のない職場の人間関係は円滑になるのでしょうか?
今、「雑談」が職場において重要なのではないか?ということが論じられています。
●雑談が仕事に与える影響
2021年オフィスのミカタの「ビジネスパーソン1000人調査」によると、
雑談が仕事に与える影響で、「雑談は仕事にプラスである、ややプラスである」と答えた人の割合は、79.5%という結果が出ています。つまり約8割の人が、雑談は仕事にいい影響を与えていると感じている、
ということです。
テレワークをしている人では、86%の人が「雑談は仕事にプラスになる、ややプラスである」と答えています。
テレワークで、コミュニケーション不足によるメンタルヘルス不調が懸念される時代において、雑談がいかに重要な役割を果たしているかがわかる結果です。
●なぜ、雑談が必要なのか
雑談は、なぜ仕事にプラスになるのでしょうか?
雑談とは、“さまざまな内容のことを気楽に話すこと。またその話。とりとめのない話。”(デジタル辞書・小学館)のことです。
職場で雑談をする、ということは、単純にコミュニケーション量が増えることになります。
業務に関することに加えて、業務に関係のない話をするわけですから、必然的にコミュニケーション量が増えます。
そして、雑談は、業務に関する話では知る事のできないさまざまな情報を得ることができます。
例えば、相手の趣味趣向、考え方、人間関係、家族、悩みなど、雑談の中には相手を知るための情報がたくさん含まれます。そういう情報を得ることで、相手を知ることができるのです。
相手の価値観や思考の癖がわかると、業務のことを話す時にも役立ちます。
そして、なにより、普段から雑談をしていると、その相手とは話し安くなります。
雑談をすることで
- コミュニケーション量が増える
- 相手の事を知ることができる
- 話し安くなる
というメリットがあります。
●コミュニケーションの基本は相手に興味を持つこと
コミュニケーションの基本は相手に興味を持って、相手の話を聞くことです。
相手に興味を持つためには、相手の事を知らなければなりません。
よくあるのが、初対面の人と雑談をしていると、
同郷であることがわかって、打ち解けた、
好きな俳優が同じだったことで、話が盛り上がった、
共通の知人がいて、親近感が湧いた、
などは、どなたでもご経験があると思います。
業務内容ではない雑談だからこそ、そういった個人情報を得ることができ、相手を知り、相手に興味を持つことができるのです。
人間関係において、コミュニケーションが重要であることは言うまでもありませんが、そのコミュニケーションをよりよいものにするためには、「相手を知る」ことが重要です。
そして、その手段として、雑談は必要不可欠ということです。
●雑談は相談のハードルを下げる
普段から雑談をよくしている上司と部下。
全く雑談をしない上司と部下。
どちらが、相談しやすい関係か、想像してみてください。
普段から雑談を通して、コミュニケーションを取っている上司と部下であれば、相談のハードルも下がります。それは、話し安いからです。そして、部下は雑談を通して上司の人柄を知り、安心して信頼して、相談することができるからです。
一方、全く雑談をせず、業務の話しかしたことのない上司には、ハードルが高すぎて、なかなか相談できないものです。加えて、雑談で得られる情報がないと、どんな考え方をする人なのかもわからず、どんな反応が返ってくるかもわからないので、不安に感じて相談のハードルは一層上がります。
部下から相談されないのは、部下に悩みがないわけではなく、上司と部下の間に、相談しやすい関係ができていないからです。
●上司と部下の雑談
上司と部下の間にこそ、雑談は必要です。
キントーンなどで有名なサイボウズでは、「ザツダン」という時間を業務の中に組み込んで、上司と部下が雑談をする時間を作っています。
サイボウズが、新しい働き方に注目し、いろいろな改革を通してチーム力を上げる取り組みをして、業績を上げていることは、ご存じの方も多いと思います。
そのサイボウスが雑談を業務に必要なこととして、取り入れています。
今の時代は、
「仕事中の私語は慎みなさい」の時代から
「仕事中の雑談は、仕事の生産性を上げる」という時代に変わってきています。
しかし、雑談は部下からはしにくいものです。
ぜひ、上司のみなさんから雑談を始めてみてはいかがでしょうか?