上司と部下の間違いだらけのコミュニケーション

上司と部下のコミュニケーションにおいて、お互いの認識が食い違っていることは、多々あります。

●無口な上司

とても無口な上司。

言葉での説明は最小限で、曖昧な指示。しかし、部下には伝わっていると思っているので、期待通りの結果を部下が持ってこないと、怒りを爆発させるタイプです。

そもそも、きちんと「伝える」ことをしていないのに、「伝わっている」と思っているところが「間違いだらけのコミュニケーション」です。

例えば

「これ、前と同じように」と上司。

前回?前々回?いつと同じ?と迷う部下。

そこで、

「前回ですか?前々回ですか?」と聞くと、

「そんなこともわからないのか!」と怒鳴る上司。

わからない部下を責める前に、自分の指示が曖昧であることに気が付かない。

これだと、部下には不満が募ります。

●超フレンドリー上司

とてもフレンドリーな上司。

部下をニックネームで呼び、軽口を言い、お酒を飲みに誘い、休日にゴルフに誘う、見た目は部下と仲良くやっている上司。

しかし、その軽口が

「○○ちゃん、こんなミスするなんて、信じられないよ。小学生でもしないよ。俺だから許すけど、こんなんじゃ、俺みたいに出世できないぞー。」

お酒やゴルフに誘う時

「俺の誘いを断らないよな。いつも可愛がってやってるもんな。」

と、断りにくい誘い方をしている上司。

上司は部下と仲良くやっていると思っているが、実は部下は

「ミスを責められて、バカにされている。」とか、

「就業後はまっすぐ家に帰りたい。休みの日には、家でゆっくりしたい。」と思っている場合もあります。

つまり、一方通行で、1人よがりの「間違いだらけのコミュニケーション」になっていることがあります。

●ノスタルジック上司

何かと言うと口癖が

「俺たちの若い頃はなあ。こんなもんじゃなかったぞ。」の上司。

自分の若い頃と同じ価値観を、今の若い世代の社員に押し付けていることに気付いていません。

「俺たちの若い頃は、毎晩終電まで働いて、休みなんて、めったになかったぞ。ミスしたら、上司に大声で怒鳴られるなんて、当たり前だったぞ。」

と、ノスタルジックに昔を語り、「成功の秘訣を教えてあげている」と思っている上司。

これも、自分の価値観を押し付けているだけの「間違いだらけのコミュニケーション」です。

部下は、「いいな、すごいな、こうなりたいな。」と思って聞いているとは限りません。

内心「また始まったよ。」と思っていたりします。

●間違いだらけのコミュニケーションの原因

間違いだらけのコミュニケーションの原因は、「思い込み」です。

相手が自分と同じ考えだと、思い込んでいるからです。

自分が思っている「前」が部下も同じだと、思い込んでいる。

自分と同程度の能力を持ち、自分と同じ感じ方をしていると、思い込んでいる。

自分は、部下に軽口を言う会話を「楽しい」と思っているので、部下も「楽しい」と思い込んでいる。

部下は、自分に誘われるのが「嬉しい」と思い込んでいる。

上司は、部下が自分の武勇伝を聞きたいと思い込んでいる。

などの「思い込み」があります。

●間違いだらけのコミュニケーションにならないために

間違いだらけのコミュニケーションにならないためには、「思い込み」をなくすことです。

「わからない」と正直に伝えてくれた部下には、「説明が足りなかったんだな」と理解して、わからない責任を部下に押し付けない。

部下を誘う時には、部下の都合をきちんと聞く。断ることができるような誘い方をする。

相手が本当に自分の武勇伝を聞きたいのか、相手の反応を確かめる。

など、相手の反応を受け止め、理解する事が重要です。

かのドラッカーは、

「コミュニケーションを成立させるものは受け手である。」

と言っています。

つまり、どんなつもりで言っても、相手がどう受け取るかによって、そのコミュニケーションが決まるということです。

パワハラを指摘された上司のほとんどが、「そんなつもりはなかった。」と言います。

それは、受け手の反応に気付かない「間違いだらけのコミュニケーション」の結果です。

パワハラは、特別な会社の特別な上司部下の関係でしか起こらないのではありません。

パワハラは、どんな会社でも、すべての上司と部下の関係の日常にある「コミュニケーション」から起こりえます。

「間違いだらけのコミュニケーション」には、十分気を付けましょう。

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