25%の人が組織を変える

━個人の価値観が文化を動かす力━

 企業文化を変えたい。

━そう願う経営者や人事担当者は少なくありません。

しかし、「組織文化」は単なる制度やスローガンではなく、組織に根づいた「価値観の集積」です。

では、個人の価値観の変化は、どのようにして組織全体の文化変容につながるのでしょうか?

●なぜ「個人の価値観」が組織文化を左右するのか

組織文化研究の第一人者エドガー・シャインは、組織文化を「共有された基本的仮定・価値観・信念のパターン」と定義しました。
つまり、文化は上から与えられるものではなく、「個人が持つ価値観や信念」が積み重なり、相互に影響し合って生まれるものです。

たとえば、「ミスをしてはいけない」という価値観が職場に広がれば、自然と

“報告が遅れる”

“挑戦しにくい”

といった行動様式が定着します。

反対に、「ミスを共有し、学びに変える」という価値観を持つ人が増えれば、報告や助け合いが日常になります。


このように、価値観の変化は行動を変え、その集合が文化を形づくるのです。

●「過半数が変わらなければ文化は変わらない」は本当か?

文化変容というと「半数以上が賛同しなければ変わらない」と考えられがちです。

しかし、社会科学の研究は異なる見方を示しています。

ペンシルベニア大学のデイモン・セントラらの研究(Science, 2018)では、

「約25%のコミットした少数」

がいれば、社会的な規範が一気に転換する可能性があることが実験的に示されました。


これは「ティッピングポイント」と呼ばれる現象です。つまり、ある現象が特定の限界点を超えると、それまでの変化が急激かつ不可逆的に、爆発的に広がるようになる転換点のことです。

要は、全員が変わる必要はなく、「強い意志をもって新しい価値観を実践する人たち」が一定割合を超えると、急速に文化が動き出す、ということです。

研究によっては、その割合は25〜35%程度とも報告されています。重要なのは人数の多さよりも、変化の深さと影響力です。

●臨界質量を生み出すための3つのポイント

文化を変えたいとき、「誰が」「どれだけ深く」変化を体現するかが鍵になります。実務的には次の3点が特に重要です。

1.コミットメントの強さ
簡単に意見を言うだけでなく、自ら行動を変える人がいるかどうか。たとえば「ミスを責めない文化」を目指すなら、上司が自ら報告ミスを共有するなど、行動で示すことが重要です。

2.ネットワーク構造の理解
影響力を持つ“ハブ”となる人物が誰かを見極めること。
部署間の橋渡しをする人や、信頼を集めるベテラン社員の変化は、数人でも大きな波及効果を生みます。

3.制度とリーダーの支援
新しい価値観を行動として維持するには、評価制度やルールがそれを後押しする必要があります。
エドガー・シャインも指摘するように、「リーダーが何を奨励し、何を容認するか」が文化の方向を決めるのです。

●「ミスは許されない」から「寛容な学びの文化」へ

たとえば、「ミスは許されない」という価値観が根強い組織を「寛容な文化」に変えたい場合、
まずは少数でも「ミスを共有して学び合う」姿勢を実践する人を増やすことが出発点です。

その動きが組織内の“信頼ネットワーク”を通じて広がると、やがて“ミスを責めない空気”が定着します。
この過程では、「過半数の賛同」よりも、「25%の強い実践者」がカギになります。
つまり、文化は“全員を変える”ことではなく、“一部が本気で変わる”ことから始まるのです。

●文化変容は「人の価値観」から始まる

組織文化の変革は、スローガンや制度改革だけでは実現しません。
一人ひとりの価値観が少しずつ変わり、それが相互作用を起こしたときに初めて、組織全体の空気が変わっていきます。

そして、たった25%の“本気で変わる人”がいれば、文化は動くのです。
これは希望でもあると同時に、戦略でもあります。

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