あいさつについて考える
●あいさつをしよう
私たちは、子供のころから「あいさつをしなさい」「あいさつをしよう」「あいさつは大事です」
など、あいさつをすることを求められてきました。
学校では「あいさつ運動」がありましたし、会社でも「気持ちのいいあいさつをしよう」
などと、目標を掲げられていました。
しかし、学校でも会社でも
「なぜあいさつをしなければいけないのか?」
「あいさつをすると何が変わるのか?」
など、あいさつが大事な理由については、教えてくれませんでした。
みなさんは、考えたことがありますか?
なぜ、あいさつが大事なのか?
なんとなくはわかっていても、言語化するとなると、難しいと思いませんか?
●あいさつをする理由
あいさつは、メンテナンスのコミュニケーションと言われています。
メンテナンス、つまり潤滑油です。
人間を歯車だとすると、人間関係は歯車同志がかみ合って回っている状態です。
そのかみ合って回っているところがギスギスしないように、潤滑油をさします。
まさに、そこ、と狙いを定めてささないと、適当に潤滑油をさしても、歯車はスムーズに回りません。
あいさつは、まさにそうだと思いませんか?
相手の目も見ずに、聞こえるか聞こえないかの小さな声で、おざなりにするあいさつは、まさに、適切な場所も確認せず、適当に潤滑油をさしているのと同じことです。
これでは、いくら潤滑油をさしても、歯車はうまく回りません。
あいさつは、することに意味があるのではなく、相手に伝わることに意味があるのです。
●あいさつは承認欲求を満たす
正しいあいさつは、相手の目を見て、相手が聞き取れる声の大きさで、心を込めてするものです。
その行為は、「あなたがここにいる事を、わかっていますよ。」
「あなたが、ここにいてくれて嬉しいですよ。」
と相手の存在を認めることになります。
つまり、相手の承認欲求を満たすのです。
無視されることが精神的につらいのは、承認欲求を否定されるからです。
「好き」の反対は、「嫌い」ではなく「無関心」と言われるように、私たちは、自分に関心を持たれないことが、一番つらいのです。自分の存在をだれも認めてくれない、と思うからです。
●マズローの欲求5段階説
人間の生まれ持っての欲求には、5つの段階があると
心理学者のマズローは言っています。
第一段階は生理的欲求
生命を維持するための、最低限の欲求
第二段階は安全欲求
身体的に安全で、精神的に安全な状態で暮らしたい
という欲求
第三段階は社会的欲求
社会集団に所属したいという欲求
第四段階は承認欲求
自分を評価してほしい、認められたいという欲求
第五段階自己実現欲求
自分らしく生きたいという欲求
承認欲求が高い位置にあることがわかります。
●人は承認されなければ生きられない
自殺を考える人のほとんどがこう考えています。
「自分なんていなくてもいいのだ」
「自分は必要とされていない人間だ」
つまり、承認欲求が満たされていないと、人は死にたいと思うのです。
●気持ちのいいあいさつが職場の人間関係を円滑にする
あいさつは、毎日気軽に簡単にできる、メンテナンスのコミュニケーションです。
心のこもった正しいあいさつは、「気持ちのいいあいさつ」と言われます。
その気持ちのいいあいさつは、職場の人間関係を円滑にします。
お互いに、承認欲求を満たし合うからです。
通りすがりに、小さな声で、おざなりにするあいさつに、意味はあるでしょうか?
「あいさつをしましょう」の前に、
なぜあいさつが重要なのか。あいさつにはどんな意味があるのか。
それを考えてもらわなければ、いくら「あいさつ運動」をしても、効果はありません。
あいさつをする理由を考えてみてはいかがでしょうか?