無意識の思い込み
無意識の思い込みが人間関係を悪化させていることがあります。
自分では気づかない無意識の思い込みのことをアンコンシャスバイアスといいます。
では、アンコンシャスバイアスとはどんなものでしょうか?
●無意識の思い込み(アンコンシャスバイアス)
無意識の思い込みとは、自分では「当たり前」「常識」と思っている価値観や考え方で偏見とも言えるものです。
自分では「当たり前」「常識」だと思っているので、それが自分の勝手な「思い込み」だとなかなか気づけないものです。
【無意識の思い込みの例】
・家事は女性がやるべきだ
・男は家庭を持って一人前
・女性に責任のある仕事は無理だ
・自分は正しい
・一人っ子はわがままだ
など、無意識の思い込みや偏見はたくさんあります。
なぜ、無意識の思い込みや偏見は人間関係を悪化させるのでしょうか?
●思い込みと人間関係
例えば、「家事は女性がやるべきだ」という思い込みがある人は、自分は家事をせず、家事をしている女性にねぎらいや感謝の言葉を伝えることをしません。
なぜなら、女性が家事をするのは「当たり前」だと思っているからです。
人は、「当たり前」だと思っていることに感謝はしません。感謝のない人間関係は、潤いのないギクシャクした関係になります。
また、「男は家庭を持って一人前」という思い込みがある人は、未婚の男性を見下してしまいます。
その人の持っている能力に関係なく、結婚していないというだけの理由で相手の能力を未熟だと判断してしまいます。
そのように偏見で判断されては、良好な人間関係は築くことはできません。
また、無意識の思い込みにより、知らず知らずのうちに人を傷つけてしまうこともあります。
子育て中の女性に、「大変だろうからプロジェクトから外しておいたよ。」というのも、優しさからの言葉のようですが、「子育て中の女性にプロジェクトは無理」という思い込みからくる発言です。
その女性が、プロジェクトに参加したいと思っていたとしたら、プロジェクトから外されたことで傷ついてしまいます。
勝手な思い込みで決めつけてしまうことで、優しさのつもりでも相手を傷つけてしまうことがあります。
そのように、無意識の思い込みは人間関係の悪化につながってしまうのです。
●無意識の思い込み(アンコンシャスバイアス)の例
アンコンシャスバイアスと言われる無意識の思い込み、偏見には下記のようなものがあります。
(以下「アンコンシャス・バイアス」マネジメント 守屋智敬著 より抜粋)
1.確証バイアス
自分がこうだと信じたことは疑わない
2.ステレオタイプ
出身校や最終学歴でその人の能力を判断してしまうことがある
3.ハロー効果
学歴が高い人は仕事も優秀だと思ってしまう
4.正常性バイアス
周りで問題が起きても「私に限ってそんなことはない」と思ったことがある
5.権威バイアス
「あの人が言うことなら間違いない」と思うことがある
6.コミットメントエスカレーション
失敗に気付いても、あとに引き下がれないことがある
7.アインシュテルング効果
新しい考え方がなかなかできない
8.集団同調性バイアス
みんながYESと言っていると、私もついYESと言ってしまう(NOと言えない)
●無意識の思い込みに気付く
無意識の思い込みは、なかなか直せるものではありません。しかし、その無意識の思い込みに気付くことができれば、不用意に相手を傷つけることは少なくなります。
自分では普通の会話をしているつもりの時でも、相手の顔が曇った場合は、言動に何かの思い込みや偏見が含まれていたかもしれない、と自分の言動を振り返ってみることです。
良好な人間関係を築くためには、自分に無意識の思い込みがたくさんあることを自覚し、無意識の思い込みに気づけるようになることが大切です。
参考文献:「アンコンシャス・バイアス」マネジメント 守屋智敬著