社風と理念

社風とは、企業文化であり、社員の満足度、対外的なイメージのみならず、業績にも影響を及ぼす、重要な要素です。たとえば、個人主義ではなくチームで仕事を成し遂げる社風の会社に、一匹狼的な人が入社してきた場合、社風が合わなくて居心地が悪くなってしまう可能性があります。新入社員を採用する際の基準も、能力や資質だけでなく、社風に合うかどうかは重要なポイントとなります。

せっかく入社したのに、社風が合わず退職となるケースが意外と多いことをご存じでしょうか?

●社風を作る5つの要素

社風は何によって作られるのでしょうか?

1.理念

理念は、企業文化の根本(基礎)となるものです。社員がその意味を理解し、それが身についている場合、それに基づいた判断や行動を行うことができます。全社員に理念が浸透している場合、理念が社風となります。

2.価値観に基づく行動指針

行動指針は、理念を達成するための心構えとして、行動する場合のガイドラインとなります。価値観が共有され、行動指針が理解されていれば全社員が同じガイドラインで行動するので、社員によって対応が違うといった行動のブレがなくなります。だれが対応しても同じ対応ができるのであれば、それは社風と言えます。

3.理念の実行

理念は実行されていなければ、全社員が理念を理解し共有することはできません。たとえば、人(社員)が財産であるとの理念があるならば、社員に伝わる形で社員に投資しなければなりません。会社が自分を育ててくれている、そのために時間や費用を投資してくれていると社員が実感できてこそ、理念を共有することができます。「絵にかいた餅」の理念では、本音と建て前を使い分ける社風が生まれてしまいます。

4.人

言うまでもなく、社風を作るのは「人」です。理念や価値観を共有し、それらを実現(実行)しようとする意志と能力がある「人」がいないと社風は成り立ちません。

5.会社の歴史

会社の歴史やストーリーも社風に大きく影響します。創業者がどのような思いで会社を作り、どのような歴史を経て今があるのか、それを受け継いでいくことで生まれる社風があります。

社風の源は理念と言っても過言ではありせん。

理念通りの社風になっていないのなら、理念の理解や浸透ができていないことが原因だと考えられます。

●パワハラは社風?

パワハラを社風と言ってしまうのは、言い過ぎだと感じる方もいらっしゃるとは思いますが、現に、パワハラでの自殺事例が発生した企業で、「今後はこのようなことがないよう、社内改革に努めます。」という内容の発言があっても、数年後にまた同じようなパワハラ自殺事例が発生した企業は存在します。

なぜ、改革と言いながら、再びパワハラ自殺事例が起きてしまうのか?

そこには、やはり「部下を厳しく叱責するのは当たり前」という社風、「悩みがあっても相談しにくい」社風、「問題が起こる前に未然に行動しにくい」社風があるからだと思います。

パワハラ自殺事例が再び起きてしまうのは、「社内改革」がすぐにできるものではないという事の現れです。

「社内改革」は規程を変えたり、人を異動させたりだけでできるものではありません。

「社風」を変えることこそが「社内改革」には必要だからです。

●社風を変えるには

社風とは長年にわたって培われてきた企業文化です。

日本人は和を大事にする民族です。人の気持ちを察して、人に合わせることに慣れている人が多いので、社風にも合わせる人が多くなります。

例えば、上司の意見にはだれも異議を唱えられない、心理的安全性が低い社風の会社では、上司に自分の意見を言える人はほとんどいません。もっと若い人に意見を言って欲しい、と言っていても、心理的安全性が低い社風が変わらない限り、若い人の意見を聞くことはできません。

社風を変えるには、全社員で価値観を共有する必要があります。

会社が一番大切にしているものはなにかを理解し、その価値観を共有することが大切です。

社風を変えるということは、相当な労力と長い時間がかかりますが、本気で社風を変えたいと思うなら根気強く理念の理解を深め、浸透させるしかありません。

何事も一朝一夕には成し遂げられません。「千里の道も一歩から」というように、まずは自分にできる「心理的安全性が高い職場づくり」を目指してみてはいかがでしょうか?

例えば、部下が自分の意見を言いやすいように、「これ、どうしたらいいと思う?」と部下に相談する形をとるのもひとつの方法です。

1人の行動の変化が周りに伝染し、「社風を変える」そんなこともあるかもしれません。

今日から、社風を変える第一歩を始めてみませんか?

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