【弱さを認める勇気が対話をひらく】
― 自己受容から始める組織づくり ―
●弱さを見せる
「弱さを見せたら、ナメられるのではないか」
「現場はそんなに甘くない」
管理職の方と話していると、必ずこうした声が上がります。
それは、とても現実的で、真っ当な感覚です。
だからこそ私は、「弱さを見せましょう」と安易には言いません。
●対話が止まる職場で起きていること
対話が生まれない職場では、
多くの場合、誰かが悪意を持っているわけではありません。
むしろ、
正しくあろうとしている
期待に応えようとしている
組織を守ろうとしている
その結果、
「間違えられない自分」 を演じ続けることになります。
しかし、この状態は人を孤立させます。
●「弱さを見せることは強さである」の本当の意味
アメリカの研究者ブレネー・ブラウンは、
「弱さを見せることは強さである(Vulnerability as Strength)」
と提唱しました。
これは、
感情を無制限にさらすことでも
責任を放棄することでもありません。
彼女が伝えたかったのは、
完璧であろうとする鎧を外す勇気です。
●管理職に必要なのは「選択された弱さ」
自己受容がある上司は、
自分の弱さを“考えなし”に出しません。
たとえば、
「今は判断に迷っています。意見を聞かせてください」
「この点は私の見落としでした」
こうした言葉は、
無力さではなく責任ある開示です。
一方、自己受容が低い状態での「弱さ」は、
感情の爆発
防衛的な言い訳
部下への依存
になりやすく、関係を壊します。
違いを分けるのが、自己受容です。
●自己受容は、対話の前提条件
自己受容とは、
「できない自分を肯定すること」ではありません。
どんな時に防御的になるのか
どんな言葉に過剰反応するのか
それを自覚し、選択できる状態になることです。
Huang ら(2024)は、
自己受容が高い人ほど感情調整がうまく、
対話の質が高いことを示しています。
●ハラスメントのない職場とは
ハラスメントのない職場とは、
問題行動が起きない職場ではありません。
間違いを修正できる
違和感を言葉にできる
対話に戻れる
そうした“回復力”を持つ職場です。
その起点にあるのが、
上司自身の自己受容です。
新しい年の始まりに、
ぜひ自分に問いかけてみてください。
私は、自分に完璧を求めすぎていないか
防御のために、対話を閉ざしていないか
小さな自己受容の一歩が、対話の扉をひらき、組織の空気を確実に変えていきます。
※本稿は、筆者の現場経験と複数の研究知見を踏まえた独自の見解です。

