怒りの正体
毎日の仕事の中で、イラっとすることはないでしょうか?
「怒り」を感じると自分も嫌な気持ちになりますし、それが周りに伝わると周りも嫌な雰囲気になってしまいます。
そんな職場の空気を悪くしてしまう「怒り」の感情。
では、そもそも「怒り」とは何なのでしょうか?
●怒りの正体
人が怒りを感じる時、それはどんな時でしょうか?
例えば
・部下が自分の思い通りの仕事をしなかった。
・家に帰ったら、ビールが冷えていなかった。
・店員の態度が悪かった。
など、いろんな場面で怒りを感じます。
・部下が自分の思い通りの仕事をしなかった。
これは、自分が部下に「こういうふうに仕事をしてほしい。」という期待を持っていたにもかかわらず、それが裏切られた、ということです。
・家に帰ったら、ビールが冷えていなかった。
仕事から帰って冷えたビールを飲むのを楽しみに帰宅したのに、ビールが冷えてなかったら、がっかりしますよね。妻がビールを冷やしていることを期待していたわけです。そして、みごとにその期待が裏切られた、ということです。
・店員の態度が悪かった。
これは、店員ならば客である自分を丁重に扱ってくれるはずだ、という期待を裏切られた、ということです。
つまり、「怒り」の正体は、期待を裏切られたことによる、がっかり、残念、悲しい、つらい、などの感情です。
●怒りは第二感情
怒りは、第二感情だと言われています。
怒りの前には、第一感情として「がっかり、残念、悲しい、つらい」などの感情があります。
しかし、そのネガティブな感情をそのまま受け入れると苦しいので、自分の心を守るために、「怒り」に置き換えてしまうのです。
「怒り」はアクティングアウト(心を守るための防衛行動)の一つだと言われています。
●感情を味わう
怒りを感じることは悪いことではありません。怒りを感じるということは、自分の心が傷ついた、ということです。
怒りを感じた時に、そのまま怒りを他者に暴力的に乱暴にぶつけてしまうと、相手との関係を壊してしまいます。時にはけんかになってしまうでしょう。
大切なのは、怒りの正体に気付き、第一感情をしっかりと味わうことです。
・部下が自分の期待通りの仕事をしてくれなくて、残念だったな。悲しいな。
・妻がビールを冷やしてくれていなくて、がっかりだな、つらいな。
・客なのに、丁重に接してくれなくて、嫌だな。
そんな風に第一感情をちゃんと味わうことで、その感情は解放されていきます。
●人は無意識に期待するもの
私たち人間は、無意識のうちに相手に自分の予想した反応を期待してしまうものです。
例えば、通りすがりの知らない人にでも、「私と無関係でいて欲しい。」と無意識に期待しているので、突然話しかけられるとその予想外のことに困惑し、ネガティブな感情が湧いてくることがあります。
期待をしてはいけない、と言っているのではなく、期待は当然裏切られることもある、ということを理解しておくことが必要だ、ということです。そもそも、相手は自分とは別の人間なのですから、期待通りの反応が返ってこないことはあたりまえなのです。
●怒りの正体を知れば人間関係の悩みが減る
怒りの正体を知ると、人間関係の悩みは減ります。
どうして、あの部下はいつも私をイラつかせるのだろう。
どうして、妻はいつもタイミングが悪いのだろう。
どうして、あの店員は丁重な接客ができなんだろう。
あの部下、妻、あの店員。自分をイラつかせているのは相手ではなくて、実は自分の中の「期待」だと気づくことで、イライラは減っていきます。
怒りの正体を知り、イライラが少なくなれば毎日を穏やかに過ごせるようになります。
イラっとした時に、第一感情に意識を向けてみる、ということをぜひやってみてはいかがでしょうか。